通常のラウンドと同様、スクランブルゴルフツアーの試合も前半と後半で、気持ちを切り替えたりプレーを見直したりします。どちらがより重要かというとやはり後半で、チームプレーの特性とスクランブルゴルフツアーならではのルールにより、ピンチと奇跡の両方が生まれやすくなります。
チームプレーの逆転劇はこうして生まれる
ハーフ終わりでたまに聞かれるのが「OUTとINでどっちがスコア出ているの?」という質問です。確かにOUTとINで特性や難易度がガラッと変わるコースもあります。手っ取り早く知る方法はインターバル中には掲示しているハーフスコア速報をチェックすることです。次に向かうコースのスコアが全体的に好調であれば「後半はイージーかも!」という一応の判断材料になります。
ただコースなりのスコアを出せるかというと、そうカンタンにいかないのがスクランブルゴルフです。どのチームもひとつでも多くスコアを伸ばそうとしているので、選手の熱量(=やる気)によって結果が変わるといっても過言ではありません。事実、難易度は大して変わらないのに絶不調だった前半からは想像できないほど後半に大爆発、夢のバーディー量産を実現するチームもいます。
むしろ守るものがなくなったチームほど大胆なプレーを決行しやすくなります。どうせ落ちるならやりたいことをやって帰ろうと、ある意味無敵状態に進化するわけです。この破天荒作戦に神風が吹けば、待てど暮らせど訪れなかったチャンスが次々と舞い込んできます。
プロトーナメントのサンデーバックナインさながらに、残り9ホールで大差をひっくり返す逆転劇が生まれるのも、チームプレーならではの面白さではないでしょうか?
ティーショットの採用に行き詰まる件
後半で気がかりなのはティーショットの採用回数です。前半は距離優先でよりグリーンに近いボールを選択しがちです。その方がチャンスも生まれ、バーディーにつなげやすくなりますが、チームの戦略として正解かどうかは後半に明らかになります。
2人しかいないダブルス戦は1人7球をクリアしなければならないため、わりと早い段階からバランスを考えて採用していく傾向が見られます。一方、4人いるチーム戦では1球も採用されないまま前半終了となる選手も珍しくありません。「1人4球くらいなんとかなるでしょ?」的な考えですが、4つ採ってもらわなければならない選手にとっては重圧とともに地獄を味わうことになります。
まんま後半に残してしまうと、おいしいはずの食事もノドを通らないかもしれません。9ホール中の4球はほぼ半分。これまで絶不調だった選手が2分の1の確率でナイスショットを生む可能性はゼロに等しいのです。
課題を残す前に該当の選手が追い込まれて実力を発揮するタイプかどうか見極める必要があります。ティーショット採用問題はメンバー同士の理解とやさしさで解決しましょう。
意外とハマるカウントバックという落とし穴
スクランブルゴルフツアーの競技ルールでは同じスコア(タイスコア)の場合、下記のように順位を決定しています。
「スコアがタイの場合は、アウト・インどちらからスタートにかかわらず、スコアがタイの場合は、18番ホールからのカウントバック方式により順位を決定する」
参加チーム数が多いほど同じスコアが出やすく、予選会においてはカットライン付近に集中しがちです。たとえば、ダブルス戦でよくあるのが同じ1アンダーでプレーを終えても予選通過と予選落ちに分かれ、落ちたチームは「そうかカウントバックか……」と18番ホールでのプレーを悔やみながらスコアボードを見つめるとか。
さらに18番ホールがバーディーでも同じ状況のチームがいれば17番、16番、15番とさかのぼって優劣が決められます。となると浮上するのが先のティーショット採用問題。採用を見送れば見送るほどボディブローのように後半のダメージが深刻になります。特にOUTスタートのチームは順位決定にかかわる重要な局面(16~18番)でベストボールを選択できないという大ピンチに。
逆に18番ホールを迎える前にメンバー全員が条件をクリアしていれば、最後の最後で勝負を仕掛けることができ、それが比較的獲りやすいパー5ならアドレナリンが大流出します。
スタートから絶好調のチームはそのまま攻め続けていただければOKですが、立ち上がりでつまずいてしまったチームは後半に望みをつなげるべく、早めに作戦の見直しを図ってみましょう。