今回は「ティショットの選択回数」について説明します。チームにとっては大きな課題ですが、このルールによって緊張感とゲーム性が高まり試合を面白くしているのも事実。選択回数をしっかり管理しながら予選突破を目指しましょう。
クリアできないと2打罰!後半はプレッシャーとの戦いに
スクランブルゴルフ=ベストボールという印象だと思いますが、必ずしもいいボールを選び続けられるとは限りません。ティショットに関しては特にそうだったりします。
なぜならスクランブルゴルフでは「ティショットの選択回数」が決められているからです。
【ダブルス戦(2人1組)】
→ 1人につき7ホール以上
【チーム戦(4人1組)】
→ 1人につき4ホール以上
上記のようにダブルス戦とチーム戦で選択回数は異なります。また選ばなければならないという義務的イメージから「ノルマ」と言い換える方が大半です。
これをどう管理するかというと何回目の選択という意味の数字をスコアカードに記入します。もしAさんのティショットが2回目の選択であれば「2」と書き入れます。ダブルス戦なら「7」、チーム戦なら「4」になった時点でAさんは晴れてノルマから解放されるわけです。
7ホール、4ホールという数字だけ見ると「そんなもんでいいの」と思われがちですが、試合本番ではこのルールがチームの前に大きく立ちはだかります。
頭の中で「あと何ホール」と繰り返しながら、自身のナイスショットを願い続ける感じでしょうか。前半はともかく後半に入って残りホールが少なくなると一気に切迫感が出てきます。
万が一、クリアできなかった場合は1人につき2打罰が課せられます。
最終ホールでナイスバーディーだったとしても誰か1人が選択回数を満たしない場合、ホールアウト時に「2打」を足してボギーフィニッシュになってしまいます。
最後の最後でスコアと順位と肩を丸ごと落とさないようにバランスよく採用していくことがチームプレーの必須条件になります。
ロングホールに着目、ティショットの戦略的採用とは?
メンバー全員のティショットが絶好調なら問題なしという話ですが、なかなかそう上手くはいかないのがスクランブルゴルフです。
スコアを追い求めるあまり前半からグリーンに近いナイスショットばかり採用した結果、後半で行き詰ってしまうパターンは多々あります。
ではティショットのバランスをどのように調整していけばいいのでしょうか?
たとえばスタートホールからドライバーに不安を抱えているBさんがいたとしましょう。となるとBさんのティショットをどこで採用するか、各ホールでチームとしての判断を迫られることになります。
まず採用ポイントになりやすいのはロングホールです。3打目勝負できるパー5ならば飛んでいなくてもラフでもバンカーでも次の可能性にかけられます。同じ理由でパーオンが難しそうな長いミドルも有力候補です。逆に悩ましいのが1発勝負のショートホールでしょうか。仮にBさんがナイスオンでもさらに内側につけたメンバーを優先したくなります。真剣勝負の試合本番ですから目先のバーディーチャンスには抗えません。
しかしながら、どんな事情があるとしても好スコアは目指したいですよね。
ということで徹底したいのはメンバーごとの選択回数を意識した攻守のバランスです。攻めるホールと守るホールを区別しながら、スコアもティショットも調整していきましょう。
もちろんBさんの例のように妥協含みの戦略的採用も欠かせません。
チーム一丸となって難しいミッションを解決していくのもスクランブルゴルフの面白いところです。無事ノルマをクリアできたときにはこれまでにない達成感を味わうことができます。
ダブルス戦よりもチーム戦の方が追い込まれやすい理由
傾向的にはダブルス戦の方がバランスのいい採用を実現しやすいようです。確かに2人だとボールも2つなので状況がシンプルですし、ペアとして冷静な判断ができるというのは想像に難くありません。
一方、チーム戦は4者4様の考えが交錯して意見が割れることも多いため、採用バランスを崩しやすいと思います。さらにチーム戦といえばバーディー合戦ですから、ティショットの選択回数は後回しにして攻めのチームプレーにこだわりそうです。
まだ大丈夫、きっとなんとかなる。
と、みんなで言い続けた結果、最終ホールで絶対に失敗できない1打と向き合うことも。その舞台に立った選手は試合後、次のような感想を述べます。
「人生で一番震えた」
やはり仲間の期待を裏切るわけにはいかないので、尋常じゃない緊張との戦いですよね。無事成功してもダメでも、それはそれでいい思い出になりそうですが。
と、ここまで「バランスが大切」と説明してきましたが、細かいことを気にせず結果オーライというのも戦略のひとつです。
とはいえカウントバックだけは意識した方がいいでしょう。スクランブルゴルフツアーではスコアがタイの場合、INスタート、OUTスタートに関わらず18番ホールからのカウントバックになります。18番でのバーディーはもちろん、16番、17番のスコアもしっかりまとめたいところ。やはり逆戦でティショットのノルマを潰していくのがセーフティーな戦い方だと思います。
スクランブルゴルフでは避けられない課題「ティショットの選択回数」ですが、実際にやってみると頭脳プレーの良し悪しでスコアが決まることがよくわかります。試合当日は普段のラウンドとは別次元のゲーム性を楽しんでください。