桜の開花予想も近づき、春の陽気を感じられる気候となった2018年3月6日。大会すべてが太平洋クラブのコースで開催される「2017ゴルフライフスクランブルゴルフ選手権太平洋クラブCUP」の予選・ブロック決勝を勝ち抜いた猛者たちが集うチャンピオン大会が太平洋クラブ御殿場コースで行われた。

太平洋クラブ御殿場コースと言えば、米国ゴルフダイジェスト誌が発表した99年度の「The best courses in 100 countries」の日本部門で堂々の第2位にもランクされ、名実共に日本を代表するゴルフコース。日本男子ツアーの「三井住友VISA太平洋マスターズ」の開催コースとしても知られている。現在、今年の三井住友VISA太平洋マスターズに向け全面改修も行われ、史上初めて松山英樹プロが監修でコース改修に関わるなど、日々進化をし続ける名門コースだ。チャンピオン大会に相応しいこのコースで、一体どんなドラマが繰り広げられるのか。選手たちも朝から練習に余念がない。

この日は晴れの予報が外れ、朝から霧雨。春の訪れを感じさせる先週とは打って変わって、冬に逆戻りといった天気だった。とはいえチャンピオン大会に懸ける選手たちの熱意に天気なんて関係ない。霧雨の中、チャンピオン大会に勝ち上がってきた全73組146名がティオフした。

注目は各ブロック決勝で上位に入ったペア。まずは太平洋クラブ美野里コースで行われた関東Aブロック決勝で上位の「ごるフォァ~~!」「ガチ!さくらもち」「チーム湊」。太平洋クラブ江南コースで行われた関東Bブロック決勝で上位の「横浜アスリートクラブ」「ヨッシ~土竜」「きよし会」。太平洋成田コースで行われた関東Cブロック決勝で上位の「チームMGG」「BU-chan's」「Team y&g」。とはいえ、必ずしも上位ペアがいい成績を残せる訳ではないのがスクランブル。一進一退の攻防に目が離せない。

そんな中、このチャンピオン大会の全73ペアの中で、唯一女性のペアがあった。「A&C」の藤本愛、藤本智恵のおふたりだ。チャンピオン大会とは言えこの日ペアルックは多くなく、ペアルックの女性ということで目を引いたこの二人、実は母娘。この大会に出るきっかけになったのは娘さんの就職だったという。

「私(母の智恵さん)が6年前にゴルフを始めて、1年遅れで娘(愛さん)もゴルフを始めたんです。母娘一緒にできるスポーツってなかなかないから一緒にできて本当に楽しくて。今年娘の就職が決まって、あまり行けなくなるかもしれないから、出られるうちに試合に出てみようかってなったんです。そしたらチャンピオン大会に来られて、本当に嬉しい。娘が頑張ってくれて今日も最後まで楽しく回れました」

と、親子の絆も深まったようだ。最終ホールで母の智恵さんがチップインバーディを決め喜びを分かち合う二人。成績は上位には入れなかったが、この二人にとっては一生の思い出に残る1ラウンドとなったことだろう。スクランブルゴルフの醍醐味は「お互いの絆を深めあう」という部分も大切な要素の一つである。

気温もあまり上がらず、降ったり止んだりを繰り返す天気の中、優勝予想スコアは5アンダーだったが、この天気の中、優勝スコアはなんと10アンダー。まるでスクランブルのチーム戦レベルのスコアをたたき出したのは一体どのペアなのか。2017年度の太平洋クラブCUPの集大成、優勝カップは誰の手に!? 2017年度を締めくくるこの大会、上位者のコメントを長めに紹介したい。

まず第三位はアウト34、イン33、トータル67。当初優勝予想スコアと思われていた5アンダーで回った「チームさんきゅぱ」の萩原修選手、出口達也選手ペア。
― 今日のプレーの決め手は?
出口選手「今日の決め手は萩原さんのユーティリティでした。長い距離残るんだけど、ピンにつけていってくれたから。楽しく出させていただいて、お互いに切磋琢磨するようになって、何が大事かって、ダブルスはやっぱりパターだって言いながらパター二人で練習して、いろんなパター試したりして。たまにこういうのがあると嬉しいですね。やってきたかいがあるなって」
― 萩原選手いかがでしたか?
萩原選手「この大会に出させていただくようになって、チーム結成3年目で(トップ3入賞は)初めてで。決勝大会にいって指を骨折してキャンセルしたということはあるんですけど……。でも初めて3位になれて、有意義な時間を過ごせました。(スタートが始めのほうの組だったから)ラウンド終わってから3時間半待ちました(笑)。でもこれを機にチームワークも良くなったかな。元々嫌い同士のペアですからね(笑)」
― ちなみにチーム名の由来は?
「あまりにもパターが入らなくて、いいパターばっかり買ってたんです。でもゴルフ5に行ったときにお店で3980円のパターと出会って……で、チームさんきゅぱになりました。ちなみにそのパターは今倉庫に眠っています(笑)」

続いて第二位はアウト34、イン32、トータル66の6アンダーで回った「ごるフォァ~~!」の原田慶一選手と熊坂美香選手ペア。
― どうしてこの大会にエントリーしたんですか?
原田選手「とにかく太平洋クラブ御殿場コースでラウンドをしたくてエントリーしたのがきっかけですね。スクランブル自体が初めてで、むしろ競技ゴルフが初めてでした。チャンピオン大会で上位を目指したというよりも、この御殿場コースでラウンドしたいという気持ちで臨みました。今回改修もあって修理地が多かったですが、そのおかげで助かった場面もいくつかありました」
― お二人はどうして競技に出てみようと思ったんですか?
原田選手「競技だからという訳ではなくて、スクランブルだから出てみようと思ったんです。スクランブルというルールは知っていて興味はあって。でも4人はなかなか集まらなかったので、今回ペアでどこまで行けるか分からないけど太平洋クラブ御殿場行きたいねって」
― 初めてスクランブル競技やってみていかがでしたか?
熊坂選手「ひとりじゃ出せないスコアが出せたりしてすごく楽しかったです。また別の試合にも出てみたいですね」

そして栄えある優勝に輝いたのはアウト33、イン29、トータル62の10アンダーでぶっちぎりのスコアを叩きだした「チーム湊」の茂野進司選手、安田周平選手ペア。
― どうしておふたりでペアを組むことになったんですか?
茂野選手「会社の関係ですね。ゴルフが好きでね」
安田選手「ゴルフが上手な茂野さんが誘ってくださったので」
― あえてスクランブルの競技に出ることにしたのは?
茂野選手「アマチュアの試合には結構二人で出ていたんです。それの流れと、“スクランブル”というルールが面白いなって思って。ケンカにならないしね(笑)。カバーしあえるし気持ちも楽にプレーできますよね。あとはゴルフライフの競技は年間で試合の日程が決まっているので出やすいというのもありますね。サラリーマンなら有給もとりやすいですよね」
― 今日のインの29というスコアは…
茂野選手「まぐれかな(笑)。上手くかみ合ったという感じですね。今日はアイアンが冴えていて。3メートルくらいのイーグルパットを彼が入れてくれたというのも大きかったですよね。流れが変わりましたね。」
― 2018年も太平洋クラブCUPには出ますか?
茂野選手「そうですね。今日もうシード権をもらったから。でもまた予選から出たいと思っています。他の大会も、予定が合えば計画して企業対抗なども出てみようと思います」

以上で2017年度の「2017ゴルフライフスクランブルゴルフ選手権太平洋クラブCUP」の全日程が終了。スクランブルの魅力を十二分に体感し、すでに2018年度の大会への出場も決めているペアも多かったようだ。

「一人じゃ出せないスコアが出せて気持ちがいい」「気の合う仲間と一緒に戦えるのが楽しい」「普段なかなか行けないゴルフ場に行けるのが嬉しい」など、スクランブルの競技に出る理由は人それぞれ。しかし、“競技ゴルフ”の緊張感と楽しさを同時に味わえるのはスクランブルゴルフならではだろう。2018年度も多くの選手のたくさんの笑顔を見届けられるよう、スタッフ一同全力でバックアップしていきたい。参加してくださった選手の皆様、ご協力いただいた太平洋クラブ関係者の皆様、1年間ありがとうございました! 2018年も良いゴルフライフを!

2018シーズンは3月開幕。各選手権とも拡大リニューアル、スクランブルゴルフの魅力を堪能できる大会を多数開催。大会公式サイトにてエントリー受付中。

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